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チョコの日


バレンタインデーは男女かまわずいろんな人にチョコをプレゼントできる楽しい日ですね。
わたしはろくでもない人間なのでバイト先のいろんな人にチョコを押し付けてきました。
買いチョコなので下剤の心配はありません。
チョコをあげたときの人の反応を見るのが好きなんですね。
喜んでもらえればうれしいし。喜ばれなかったときとか拒否られた時は凹むけどね。

そしてチョコを大量に買っていました。
バレンタインデーは市販のチョコもちょっと安くなるから嬉しいね!


↓VDtext。

自室にて、ランジエは傍らに座っている愛犬カスタードプリンと同じ格好で鎮座していた。
落ち着いたクールフェイスで本を読んでいるのだが、どこか忙しない。カスタードがランジエに「遊んで!」と視線を送っているが、どこかそわそわ。
よく見れば、読んでいる本は同じページを行ったり来たりしているだけで、本自体逆さまになってるではないか。
何故ランジエはこんなに落ち着きがないのか。


「今日がバレンタインデーだからですよ!!」


ランジエはバッと立ち上がり、誰に言うでもなく自室の中心で叫んだ。


「ティチエルのことがー好きだからー! ずーっと、ずーっと、だいすきでーす!!」


懐かしいCMの真似をしながら部屋の中で愛を叫び回って歩く。
すると、隣の部屋にいたランズミが少しだけドアを開け、ぼそりと呟いた。


「……うるさい」


病弱な妹のげっそりとした顔に、ランジエは慌てて謝った。


「すみません。体調は大丈夫ですか、ランズミ」

「お兄ちゃんがまともになってくれれば、だいぶ楽になると思うわ」

「なるほど。それは難しい」

「とにかく、ご近所にクレーム付けられないように気を付けてね」

「はい……」


しゅんと肩を落としたランジエはまた自室の中心に座り込む。
と、その時だった。ランジエのアホ毛がピンと一本アンテナのように立ち上った。


「む! ティチエルの気配です。カスタード、留守は任せましたよ」


ランジエは立ち上がると、無駄にホイップクリームシューターをガンスピンさせホルダーに射しこんだ。


「今日はサンスル経由でワープポイント付近にいるようだ」


呟くのもつかの間、次の瞬間にはもうランジエの姿は部屋の中になかった。
音もなく忍者のように消えたランジエの神業を見ていたランズミは小さくため息を吐いた。


「どんどんエスカレートしていく……」




***

ランジエはマッハgogogoもびっくりな速さでケルティカワープポイントまで移動していた。
ワープポイント付近のベンチに座りタイを直していると、予想通り一秒後にティチエルがワープポイントから現れた。


「ティチエル、こんにちは」

「わぁ。もう会ってしまいました」

「あなたのことなら何でもまるっとお見通しですよ」


きゅぴんと飛ばしたウィンクからハートの欠片が飛び出し、ティチエルの服に刺さった。
ティチエルは何事もなかったかのように、服に刺さったハートをリボンの真ん中にぺたりと貼り付け、ブローチのように飾り付けた。ピンク色のハートが青いリボンの真ん中でキラキラ輝く。


「むしろ私がランジエさんをまるっとお見通しですよ」


ティチエルはくすっと笑い、ランジエに真っ赤なハートをランジエに差し出した。
真っ赤なハートは手のひらに収まるサイズだったが、エナメルのようにツルツル光っており、ピカピカしていて元気そうだった。


「これは、まさか……ティチエルの心?」


ランジエは壊れ物に触れるようにそっと両掌を合わせてハートを抱きこむ。
ハートをうっとりと見つめているランジエに向かい、ティチエルはにっこりと笑った。


「いいえ、不○家のハートピーナッツチョコですぅ」

「ハートピーナッツチョコ……だと!?」


一枚21seedでたっぷり満足幸せになれるピーナッツチョコはランジエの大好物であった。
ぷるぷると震えるランジエに、ティチエルは更ににっこりと微笑む。


「ハートっぽさを出すために赤い包装紙で包んだ後に、ピンク色のセロハンテープでぐるぐる巻きにしたんですよぉ」


えっへんと胸を張ったティチエルのアホ可愛さに、ランジエはハートチョコを握りしめたまま抱きついた。


「好きだああああああ!!!」

「な、何ですか! いきなり!」

「ハートピーナッツチョコよりも、プリンよりも、あなたのことがー!! 好きだああああああ!!!」

「道の真ん中で叫ばないでくださいよぉ!!」


恥ずかしがるティチエルだったが、ケルティカでは割と当たり前の光景になっているので免疫のある近隣住民たちは素通りだった。
思う存分ティチエルに抱き着き、柔らかさと匂いを堪能したランジエは名残惜しそうにティチエルを離した。


「ありがとうございます。大切に食べます」

「ランズミさんとカスタードにも作ってきたから、渡してくださいね」

「はい、もちろん」

「それから……」


ティチエルはもう二つのハートピーナッツチョコをランジエに渡すと、そのままぴしっとランジエに指を突き付けた。


「お返しはいりませんから」

「え?」


ティチエルの言葉にランジエの目は点になる。「pardon?」と別の国の言語まで飛び出す。


「ランジエさんって、いつも全力でホワイトデーのお返しをしてくれるでしょう? 三倍返しどころか十五倍返しくらいで」

「いえ、感覚的には十五倍返しでも五億倍返しでも返しきれないと言いますか」

「それがダメなんですっ」


ティチエルはぷくっとほっぺを膨らませ、ランジエを上目づかいで睨み付けた。


「いつもそのせいで家計が火の車じゃないですか。それだとランズミさんたちにしわ寄せがいきすぎるのです」


ぷくりと膨れていたほっぺっはすぐに萎み、ティチエルの肩も落ちる。


「私のせいでランジエさんたちが苦しむのを見たくないのですぅ……」

「ティチエル……」


しょんぼりと肩を落としたティチエルの両手をガシッと包み、ランジエは首を横に振った。


「私もあなたに何かしてあげたいのです。受け取った愛は何倍にもして返したいのです」


熱いランジエの眼差しに、ティチエルは困った。
例年通りに進めば、ホワイトデーに給料前借三か月分のサプライズが贈られてきてしまうのだ。このままでは、また水道、電気を止められ餓死寸前のローゼンクランツ家を見ることになってしまう。

ティチエルは頭をフル回転させて言った。


「それじゃあ、今年は三倍返しまでにしてください」

「三倍!? 21seedの三倍では、たいまつくらいしか買えないではありませんか!!」


驚愕するランジエにティチエルはにこにこ笑う。


「それでいいんですよぉ。要は気持ちが大事ですから! それに、たいまつは良く使いますし。貰って嬉しいのですぅ」

「うぐぅ……」


ティチエルはよしよしと犬の頭を撫でるようにランジエの頭に触れた。
解せぬと口を結ぶランジエは何か言いたそうである。ティチエルにボディタッチされているのにこの表情。納得させるまでにはもう一押し必要かもしれない。


「ランジエさん」


ティチエルはランジエの頭から手を離し、紅い瞳を見つめた。


「私、本当はランジエさんが傍にいてくれるだけで、何もいらないの」

「ティチエル……」

「だから」


ティチエルはランジエの耳元に唇を寄せた。


「次のバレンタインデーも私に恋をしていて」


甘い吐息がランジエの耳元に絡みつき、ランジエは頬を薔薇色に染めた。
そして広がる、青薔薇満開の笑顔。


「次のバレンタインだけでいいのですか?」


含むように囁いたランジエは、艶やかな金髪を一房手に取りくちづけた。
さらさらと指の間から落ちていく金糸が、ゆっくりと時を刻んでいく。


「出会った時からあなたに恋をしています。来年も再来年も、五年後も十年後も、あなたからバレンタインのチョコをもらうのは私です」

「本当かしら?」


上目遣いのサファイアがキラキラと前髪の間から輝く。
試すような、からかうような色を孕んだおちゃめな瞳に、真っ赤なルビーが重なる。


「もちろん」

「そうですか」


ふふっと微笑みを交わし合った瞳と瞳、どちらからともなく瞳を閉じる。
誰もがマジでキスする五秒前だと思った時だった。

ぱちりとティチエルが瞳を開けた。
おっとりとした中に利発さを煌めかせる青色は悪戯っぽく光る。


「じゃあ、やっぱりホワイトデーのお返しは無くて大丈夫ですね」


あっ、とランジエが怯んだ一瞬に、少し背伸びをしたティチエルがちゅっとその唇にくちづけた。
何もかも先手を打たれたランジエは仕方なく白旗を上げた。


「はは……してやられましたよ」





その日、ワープポイントの中心でいちゃつくカップルを素通りしていった人々は、心の中に砂糖の砂漠ができてしまったそうだ。
翌日の新聞記事の一面は『心の砂漠化問題(砂糖)』だったという。
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